孤独死のあった家は事故物件になる?実際の事例からプロがその基準を解説
目次
一人暮らし世帯の増加とともに、近年社会問題として取り上げられている孤独死。
孤独死のあった家は事故物件に該当する可能性があることを知っていますか?自死や事件が起こった家を想像されやすいですが、場合によっては孤独死でも事故物件になってしまいます。
では、孤独死が事故物件になるのはどういったケースなのでしょうか。実例とともに特殊清掃のプロでありながら事故物件を専門に売買するカンクリ不動産が解説します。
事故物件に明確な定義はない
そもそも事故物件に明確な定義はありません。自殺や事件、火災によって死亡した場合は事故物件に含まれてきましたが、病死による孤独死については曖昧でした。
事故物件は心理的瑕疵に該当するため、不動産の取引で告知義務が生じます。心理的瑕疵とは物件を契約する際に心理的に抵抗を感じること。告知をすると物件価格が下落してしまいます。
今までは孤独死が事故物件になる判断基準が定まっていなかったので、不動産会社は告知義務があるのかどうか分からず、不動産の円滑な取引が阻害されていました。
そこで、国土交通省は2021年に告知義務の一般的な基準として「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を作成しました。
ガイドラインでは「人知れず放置されたことに伴い、特殊清掃が行われた場合」は事故物件に該当するとされています。
増加する孤独死、死因の多くは「病死」
核家族世帯とともに1人暮らしの高齢者が増えたことで、孤独死の発生件数は年々増加しています。その死因の多くは病死です。
東京都区部・大阪市では、死亡から発見まで4日以上経過した自宅死亡例は2017年から2020年の間で20%以上増加。大阪市を例にとると、年間死亡者数の約4.4%が孤独死と判断されています。
また、国土交通省の死因別統計データ掲載の参考資料によると、賃貸住宅での孤独死では、死因の60%以上が病死であることがわかりました。
先のガイドラインでは、老衰、持病による病死について告知義務はないと明記されました。事件性がなくても発見が遅れた孤独死が事故物件となるか否かの判断は特殊清掃を行ったかどうかで決まることになり、判断が難しいケースであると言えます。
孤独死のあった家が事故物件になるケース
孤独死のあった家が事故物件に該当するのは、発見が遅れて遺体の腐敗が進んでいた場合です。強い臭いや体液痕が残ってしまうと、事故物件として扱われます。
ポイントは2つあり、1つは心理的に影響を与えるかどうかです。孤独死とひとことで言っても、死後何日経つと事故物件になるという明確な基準はありません。
たとえ翌日に発見したとしても、遺体の腐敗は始まっています。僅かであっても入居予定者が心理的瑕疵を負うと判断される場合は、告知義務が生じるのです。
2つめのポイントは特殊清掃を行ったか否かです。遺体の腐敗が進行したために発生した体液や臭いは、特殊清掃でなければ取り除くことができません。
しかし、やはり特殊清掃にも明確な基準がないのです。部屋の状況によって作業の範囲や程度は異なり、このような作業をおこなったら特殊清掃であるといった決まりがありません。
そのため、告知すると物件価格は安くなってしまいますが、トラブルを避けるために告知する不動産業者が多いのが実態です。
実際の事例からその特徴を解説
カンクリ不動産のグループ会社、関西クリーンサービスでは大阪・京都・奈良で数々の特殊清掃を行っています。YouTubeチャンネルで清掃現場の凄惨な状況やご遺族の声を動画で公開し、この取り組みは新聞・テレビなどの各メディアの注目を集め多数の取材を受けてきました。
ここでは事故物件となった実際の孤独死のあった物件を紹介します。
死後経過4日。体液痕、臭いはほぼないが・・・
大阪市にある小さなアパートで特殊清掃のご依頼を承りました。亡くなられたのは79歳の女性。死後4日間が経過して発見されました。
故人の異変に気付いたのは同じアパートの住人です。「そういえば顔を見ていない。昨日も、一昨日も・・・」ドア越しに声をかけても返事が無く、大家さまが部屋を開けて確認したところ故人さまが部屋で倒れて亡くなっていたそうです。
女性は泌尿器に持病があったせいか、室内の畳には血尿の痕が残っていました。ご遺体は体液が解け出すほどの腐敗が進行していなかったため、作業員が遺品整理のあと畳を剥がして撤去すると、臭いも血液の後も全てが一掃されることになりました。
しかしここは室数6つほど、浴室やトイレは共同の小さなアパート。入居者は皆顔見知りだといいます。新たな入居者を募る場合も故人が4日間発見されずに亡くなられたのは周知の事実です。
そして、私たち作業員が行ったことは故人の遺品整理と血尿の痕が残った畳の撤去のみ。にもかかわらず、人が亡くなった部屋での作業であるため特殊清掃という名目で作業に入らせていただいた現場です。
この2つの事実は入居者に告げるべき心理的影響を与える出来事になり得ます。
死後経過約3週間。残ったのは僅かな臭いだけでも・・・
爽やかな風が吹く4月下旬、作業スタッフは京都市にある団地5階の一室を訪れました。
故人が幼いころから長い間住んでおられた部屋の玄関には、近隣の方によるものと思われる花が手向けられていました。
この部屋で亡くなられたのは40代の女性です。4月上旬に、死後約3週間が経過して発見されました。ご依頼主様に話を伺うと、「持病があったので急に悪化したのかもしれない」とのこと。
亡くなられたのはベッドの上。まだ寒さが残る3月中旬の出来事で、ベッドを撤去すると体液の痕はすっかりなくなりました。僅かですが明らかな臭いだけが残っています。
長年住んでいたこともあって経年劣化した内装の現状回復工事は必須でしょう。
私たち作業員は遺品整理の後に消臭のための薬剤を撒いて現場を後にしました。
今回弊社で行った作業は遺品整理と体液が着いた布団を含む家財道具の処分と消臭です。しかしご遺体は死後約3週間もの間放置されていました。
そのことは次の入居者に心理的影響を与えると判断されるでしょう。そしてその時間の経過が部屋に僅かな臭いを染みつかせたのです。
公営団地では人が亡くなった部屋を特別募集という枠で入居を募っています。この部屋は特別募集として入居者を募ることになりました。
特殊清掃が必要な訳あり物件の売却は、事故物件専門のカンクリ不動産へ
孤独死の現場では、特殊清掃が必要なケースが多々あります。次の入居者を迎えたり売却したりするために、臭いや汚れを徹底的に取り除く特殊清掃が不可欠だからです。
カンクリ不動産はこうした特殊清掃を要する事故物件を現状のまま直接買取しています。自社施工による特殊清掃は業界トップクラスの実績。メディアからの注目度も高くゴミ屋敷の清掃や特殊清掃の現場でTV・新聞など多くのメディアの取材を受けてきました。
事故物件を再生する高い技術と専門性は事故物件でお困りの多くのお客様の悩みにお応えしてきました。特殊清掃や物件の売却でお困りの際は、カンクリ不動産へお気軽にお問い合わせください。お電話・お見積もり・出張査定は完全無料でお伺いいたします。
【まとめ】孤独死の告知義務は不明瞭な部分もある。困ったときは専門業者へ
孤独死の家は必ず事故物件として扱われるわけではありません。ただ、発見が遅れたり特殊清掃を行ったりすると事故物件に該当する可能性が高くなります。
また、事故物件になるかどうかは入居予定者の心理的瑕疵にもよります。もし事故物件の売却を考えているなら、事故物件に詳しい専門業者に相談してください。
事故物件を所有してしまい、汚れや臭いに困っている方は、特殊清掃のプロでありながら事故物件を専門的に売買するカンクリ不動産までご連絡ください。