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殺人事件のあった事故物件を売る難しさとは?物件の処分方法までプロが解説

所有している物件が事故物件になった場合、その物件を手放そうとしても一般的な不動産と比べて売却が難しくなります。そして、事故物件の中でも、扱い方・売却・売買取引が最も難しくなるのが、殺人事件があった物件です。

 

本記事では、殺人事件のあった事故物件を売るのが難しい理由・心理的瑕疵(かし)が希釈されるケース・殺人事件のあった物件を処分する方法について解説します。殺人事件が起こった事故物件の売却に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

手持ちの物件で殺人事件があったら

警察庁が令和2年発表した「犯罪統計書」によると、「罪種別発生場」の項目において殺人事件929件のうち一戸建て住宅やマンションなどの住居での犯行が613件、65%にものぼることがわかりました。

 

万が一手持ちの物件で殺人事件があった場合、その不動産には以下のような条件が付きます。

 

  • 殺人事件のあった物件は心理的瑕疵物件になる
  • 物件は手放せるが、告知義務がある

 

それぞれについて、解説します。

殺人事件が起きた物件は「心理的瑕疵物件」になる

殺人事件が起きた物件は、心理的瑕疵物件になります。瑕疵(かし)とは、「住宅が備えるべき通常の機能、または契約で定められた機能が果たせないような欠陥・不具合」を指し次のように3つの種類があります。

 

物理的瑕疵物件
物件そのものに不具合があるものを指します。たとえば、雨漏りがする・シロアリ被害がある・アスベストの使用などがある物件です。

 

法的瑕疵物件
法的に何らかの問題があるものをいいます。たとえば、建築基準法・都市計画法・消防法による制限、建ぺい率による制限・容積率による制限・市街化調整区域による制限などで自由に建物が建てられない物件です。

 

心理的瑕疵物件
孤独死・自死・殺人事件など、知ってしまうと住みたくなくなる事情のある、心理的抵抗や嫌悪感のある物件を指します。

 

心理的瑕疵物件は、他の瑕疵と比べて目に見えて違いがわかったり明確な決まりがあったりするわけではありません。そのため、取扱い方には困難なことが多々あるのです。

殺人事件があった物件を手放すことはできる?

結論から言うと、殺人事件があった物件を手放すことは可能です。ただし一般的な不動産のようにはいきません。

 

前述のように殺人事件があったことは、買い手にとって心理的抵抗や嫌悪感を感じさせる心理的瑕疵物件にあたります。そのため、その事実を隠して売却すればいいのでは、と考えるかもしれません。

 

しかし売買の後、何らかの理由で隠された瑕疵が発覚すると、損害賠償請求をされたり契約解除を求められたりするケースもあるのです。また、仲介にあたる不動産会社は宅建法で定められた「告知義務」違反にあたる恐れもでてきます。

 

そのため、事故物件であることを隠して取引することはできません。

殺人事件があった事故物件を売るのが難しい理由

一般的な不動産のようにはいかない事故物件。殺人事件があった事故物件を売るのが難しい理由は、6つあります。

 

  • 被害者遺族に強いられる被害者情報の拡散と精神的負担
  • 心理的抵抗が大きい
  • デジタルタトゥーなどで事件が風化しないことも
  • 買い手の融資が通らない
  • 周辺物件に影響
  • 不動産会社が扱いたがらない

 

事件の大きさや社会に与えた影響の大きさも、物件売却に影響します。それぞれについて、見ていきましょう。

 

被害者遺族に強いられる被害者情報の拡散と精神的負担

事件がニュースになると、犯行現場となった被害者の物件情報や個人情報などがテレビや新聞等のメディアで事細かに報じられることも。また、報道各社は周辺住民に聞き込みをしているかもしれません。

 

被害者遺族は事件で心が痛む状況の中、さらに追い打ちをかけられ、周辺住人からの視線やメディアでの情報拡散が精神的負担になります。さらに、物件を手放したいと不動産会社へ相談を持ち掛ければ、そのたびに事件があったことを説明をしなくてはならないのです。

心理的抵抗が大きい

事故物件の中でも、殺人事件のあった物件は、特に心理的抵抗が大きくなると考えられます。たとえば孤独死の場合はその死因が病気や老衰などであることも多く、心理的な恐怖感は比較的軽いと考える人もいます。しかし殺人事件は、その凄惨なイメージが、より住みたくない・買いたくないという心理を強くするのです。

 

もし購入したとしても、周辺住人から好奇の目で見られる可能性もあり、精神的な負担を強いられる可能性がないとはいえません。

デジタルタトゥーなどで事件が風化しないことも

デジタルタトゥーにより、事件がなかなか風化しないことがあります。

 

近年では、SNSの普及によりニュース記事や事件について各々が情報発信することができます。一度公開されたネットニュースやSNS投稿は次々に拡散され、発信者の意図しない範囲にまで広がる可能性もあるのです。

 

ネット上に、ニュース記事や事故物件公示サイトに事件のあった物件情報が載ってしまうと、なかなか消せないタトゥー(刺青)のように、半永久的に内容が残ってしまいます。

買い手の融資が通らない

事故物件購入のために銀行へ住宅ローンを申し込んでも、融資を受けられないケースがあります。全ての金融機関で、全ての事故物件がそうではありませんが、事故物件は担保価値が下がるため少なからず審査のネックになる内容です。

 

もし、物件購入を検討していたとしても融資が受けられないのでは、購入意思が下がるため、買い手は付きにくくなるでしょう。

周辺物件にも影響

殺人事件はニュース記事などによって住所や建物が特定されるため、周辺地域の物件価値にも影響を与えてしまう恐れがあります。

 

集合住宅内での事件だとしたら、同じ建物には住みたくないという人もいるでしょう。隣家やすぐ近所の物件でも同様のことが考えられます。

 

事件が社会的に与えた大きさによっても物件価値への影響は変わり、殺人事件が起こった事故物件は周囲にも何らかの影響を与えることになります。

不動産業者が扱いたがらない

不動産業者の中には、殺人事件があった物件を扱いたくないという業者もあります。凄惨な事件はネットでも情報が出回り、事故物件の中でも特に心理的瑕疵が強い物件となるため、売れにくいことが要因といえるでしょう。

 

遺族は不動産会社に売却したくても、その都度事件の説明をしなくてはなりません。それに加えて業者が扱いしたがらないため、査定してもらえず、手放せずに困っているケースは少なくありません。

殺人が起きた事故物件の心理的瑕疵が希釈されるケース

不動産業者が扱いたがらない、売却しにくいと考えられる事故物件ですが、殺人が起きた事故物件の心理的瑕疵が希釈されるケースとして4つ考えられます。

 

  • 更地にする
  • 時間を空ける
  • 事業用として運用
  • 賃貸として運用

 

それぞれについて、説明します。

更地にする

建物を解体して更地にすると、建物内で起きた事件の印象は緩和され印象は薄くなるでしょう。建物がなくなることで事件は人の記憶から薄れていき、風化が早まるとも考えられます。

 

しかし建物がなくなっても、その土地で事件が起きた事実はあるので、心理的瑕疵物件の告知義務はなくなりません。

時間を空ける

時間の経過で人の記憶から徐々に薄れていき、心理的瑕疵が緩和していくのを待ってから売却するのもひとつの方法です。

 

ただし、告知義務に関しては、賃貸の場合は基本的に約3年間、売却の場合は時効がありません。この告知義務の期間については、2021年の国土交通省「宅地建物取引業者による人の告知に関するガイドライン」に指針が定められています。

事業用として運用

事業用に運用するという方法もあります。会社の事務所などであれば、そこに住むわけではないので、心理的な抵抗は少ないでしょう。駐車場にする、資材置き場に運用することもできます。

 

住居として使うのでなければ、心理的瑕疵は希釈されるでしょう。

賃貸として運用

殺人事件のあった物件を売却ではなく、賃貸として運用する方法もあります。賃貸運用の場合、人の死に関わる告知については、約3年で告知義務はなくなります。

 

しかし、殺人となると事件の与えた社会的影響が大きく、心理的瑕疵も緩和されにくいため、告知をしないとトラブルになる可能性が高いと言えます。賃貸が可能なのか判断が必要です。

殺人事件のあった事故物件を処分するには?

殺人事件のあった事故物件を処分するには、以下の点を理解しておきましょう。

 

  • 殺人事件のあった物件を処分する方法は主に4つ
  • 新制度『相続土地国庫帰属制度』で国に土地を返せる
  • 殺人事件のあった物件は事故物件専門の買取業者への「売却」が吉

 

それぞれについて、解説します。

殺人事件のあった物件の処分方法は主に4つ

殺人事件のあった物件の処分方法は主に4つあります。

売却
買取業者に売却する方法です。しかし、一般的な買取業者は事故物件を取り扱わない場合があります。事故物件専門業者への売却がおすすめです。

 

寄付
寄付は、贈与(プレゼント)と同じため、寄付する側に収入はありません。
寄付の相手は、自治体・法人(私企業・公益社団法人・認定NPO)などです。無償での寄付ですが、受け取ってくれる団体がある場合は検討してもいいでしょう。

 

個人間で譲渡・贈与
事故物件ということを理解したうえで譲り受ける人がいるときに有効な方法です。
譲渡は誰か個人へ有償で譲る方法です。譲渡した側には譲渡所得による所得税がかかります。一方、贈与は個人へ無償で譲る方法で、譲り受ける側に贈与税がかかります。

いずれの場合においても、トラブルを避けるために専門の知識を持った人のサポートを受けることをおすすめします。

 

相続放棄
土地は「いらない」という理由では放棄できません。放棄できるとすれば、相続するタイミングで行う相続放棄です。ただし、亡くなった人からのすべての財産を放棄するので、預貯金や株式などの財産がある場合は注意が必要です。

また、相続放棄をした場合でも他に相続人がいなければ不動産の管理責任は残ります。

新制度『相続土地国庫帰属制度』で国に土地を返せる!?

2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」が始まります。不動産を相続した場合に申請できる方法で、相続した土地を「利用する予定がない」「周りに迷惑がかからないように管理が大変」というニーズに対応した制度です。将来的には所有者不明の土地の発生を予防することを目的としています。

 

その土地の相続人が、一定の要件を満たした場合に土地を手放して国庫に帰属できます。ただし次のような土地は申請ができません。

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地
  • 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

審査手数料や負担金が発生し、土地を手放すまでの課程があり、場合によっては申請のハードルが高くなることもあるため、複数の処分方法と併せて検討するといいでしょう。

殺人事件のあった物件は事故物件専門の買取業者への「売却」が吉

殺人事件のあった物件は事故物件専門の買取業者への「売却」がおすすめです。寄付や譲渡しようと思っても、殺人事件のあった物件の心理的瑕疵は大きく、受け取りを断られることもあるかもしれません。

 

仲介業者に依頼しても断られることが多く、もし引き受けてくれたとしても、なかなか売却できないというのが現実です。その反面専門の買取業者だと、即現金化できる点でおすすめしています。

実際の事例 被害者遺族を悩ませた強盗殺人物件

今回のご依頼主様は40代の女性。

 

大阪府にあるご実家に空き巣が忍び込んだのだそうです。当時、寝室でテレビを見ていたお父さまは犯人の気配に気づき、そのまま犯人の手によって帰らぬ人となりました。

 

この事件は全国ニュースにもなり、数年がたった現在でもインターネットのニュース記事には犯行現場となったご実家の写真や所在地、被害者であるお父さまの実名やご職業等の個人情報が掲載されています。

 

ご依頼主様が弊社へ売却のご相談されたとき、「早くこの家を手放して違う土地に引越したい」ということをしきりにおっしゃっていました。

 

よくよく話をいてみると、被害者遺族の大変なご苦労とご負担が伺えました。

 

事件直後、警察との対応に追われる中、同時にご遺族の周囲には報道関係者がまるで見張っているかのようにつきまとっていたのだそうです。「いつも不審な車が目について、近所の人にも父や私たち家族のことを聞き込みしていた見たいです。どうして被害者の私たちがこんな目に遭わなければいけないのか・・・」依頼主様は怒りをこらえるようして話してくださいました。

 

一方で、物件の売却はそう簡単にはいかなかったそうです。事故物件を専門に取り扱う大手不動産会社に問い合わせても前向きな返答は得られなかったのだとか。「複数の不動産会社に問い合わせてもろくに返事が無くて、やっと話を聞いてくれる会社に出会えた」ご依頼主様にとって、一番最後に問い合わせた弊社が頼みの綱だったのです。

 

大変なご苦労を伺い、弊社でなんとか力になりたいという思いで購入を検討しました。しかし社内からは強盗殺人という残忍な事件性や全国ニュースの影響に不安視する声が多く上がったのも事実です。

 

社内ではどうすればこの物件を再生できるのか何度も何度も議論を重ね、ようやく購入へと踏み切りました。

殺人事件などの事故物件があったらプロに相談しよう!

今回は殺人事件のあった事故物件の売却について紹介しました。殺人事件のあった物件は心理的瑕疵が、ほかの事故物件にくらべて大きいです。不動産会社によっては断られるケースが多く、売却するのが難しいでしょう。

 

カンクリ不動産に依頼すれば、物件のご供養・遺品整理・特殊清掃・法律の専門家による相続の相談・不動産の売買まで、すべてお任せできます。殺人事件のあった事故物件は、訳あり物件の取り扱い経験が豊富な「カンクリ不動産」にぜひご相談ください。

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